そうだ。プレイヤーは政府としてプレイするのではなく、「国家の精神」としてプレイする。
#3 建造物より
政府の運営はこのゲームの根幹である。どのような法律が制定され、誰が権力を握り、誰が政治的発言力をもち、人々は何を求めているのか。限られた経済的・政治的資源を、どう分配し、拡大していくのか。激動の19世紀の世界の中でいかにして強かに生き残り、栄光の時代を築けるのか。
Victoria3の政府は、複雑で深みのあるこのゲームの中枢であるといってよい。利益集団や法律はゲームのあらゆる側面と結びつき、有機的なゲームプレイをもたらすメカニズムそのものである。あなたのプレイの目標を達成するためには、適切な政府の運営なくしては始まらない。
ただしプレイヤーが取れる裁量は、政府のそれを超えて行われる。建造物の建設、与党の恣意的な変更、次の技術の選択、探検ジャーナルの決定などである。これらはリアリティの追求というよりは、ゲームプレイの快適さを重視した結果だろうと思われる。
Victoria3では開始年である1836年において、実際のものと比較して最適な法律や制度を設定することを目指している。そうすることによって全ての国家の間に大きな、かつ説得力のある違いを生み出すことができる。各国における初期の法律は、その国がおかれている状況を決定し、取りうる方向性をも決定する。
官僚機構は無秩序な拡大を抑制し、小さく強力な国家建設に報いるように意図している。プレイヤー国家が軍国主義の大国で、大陸をまたいで侵略を行った場合、プレイヤーは新たに併合した領土に法で定められた政府の役務を拡大するのには苦労するだろう。
#8 政府の制度より
キャパシティは、特定の分野について国家が持つ能力をあらわす。キャパシティには官僚機構(Bureaucracy)、権限(Authority)、影響力(Influence)の3つがあり、その分野に関連することにのみ使用される。
キャパシティは蓄積されるものではなく、常に一定の生成量と使用量をもつ。生成量が使用量を超過しているとポジティブな効果が、その逆ならネガティブな効果が現れる。
官僚機構(Breaucracy)は、国家の持つ領土に対して統治し、投資し、徴税する能力を表現する。
官僚機構は建造物の行政機関(Government Administration)から生まれるが、そのためには官僚が雇用され、紙などの必要な商品が利用できている必要がある。これに限らず、無人の建造物は恩恵をもたらさない。
官僚機構はまず編入されたステート(Incorporated State)内の人口規模に応じて使用され、さらに国家が運営するそれぞれの政府の制度(Institution)のレベルによっても増加する。
政府の制度も編入されたステートでしか効果を発揮しないため、ただ単に領土を拡大しただけでは官僚機構の負担はそれほど大きくならない。逆にステートを編入する際は、余裕があるか確かめた方がよいだろう。
権限(Authority)は、国家元首の個人的権力や、国家に命令する能力を表現する。
権限は基本的に法律(laws)から生じる。より抑圧的な法律はより多くの権限をもたらし、それにより権威主義的な社会とそうでない社会にトレードオフが生まれる。権威主義的であるほどプレイヤーの意志を直接反映しやすくなり、逆にPOPが多くの権利を持つような国家ではプレイヤーの裁量は小さくなる。
権限の使い道は様々だ。ステートにおける布告(Decrees)の設定、利益集団(Interest groups)の後援・抑圧、特定の商品の奨励・禁止などに用いられる。いずれの行動でも、権限以外のリソースは使用しない。このゲームにおいての権限とはつまり、国家元首の意向が政府を左右し、社会を変化させ、末端の人々にまで至るすべての力・能力を総合したかなり抽象的な概念である。
影響力(Influence)は、国家が外交においてどれほどの影響力を持てるのかを表現する。
影響力は国家ランクに応じて獲得でき、その国家ランクは威信(Prestige)の大きさに依存している。
関係改善や同盟、従属国などの外交関係・協定を維持することが影響力の使い道である。関係を持つ相手国のランクが高いほど、維持コストも大きくなる。
影響力を使用する外交行動(Diplomatic Actions)のうち、関係改善や資金援助など一方的な継続的行動(Ongoing Actions)は実行者のみが影響力を支払う。対して同盟や貿易協定など二者間の合意が必要な協定(Pacts)では、双方が影響力を支払う必要がある。ただし従属関係や関税同盟など上下関係がある場合は、上位国のみが影響力を負担する。
Victoria 3の金利は比較的低く、債務上限に達するのを避ける限り、赤字支出による経済成長は非常に有効な戦略となり得る。
#12 国庫より
Victoria3の資金は、他のゲームでよくみられるような何かを買うために十分な量まで貯めるものではない。このゲームでは代わりに週ごとの収支が重要になるからだ。週の終わりに自国の収入と支出が集計され、備蓄額や負債額に充当される。国家に債務がなく収支が黒字の場合は金準備を、債務があり赤字の場合は国家債務をそれぞれ拡大させる。
つまり、建築などのあらゆる支出が週をベースに行われる。プレイヤーはある産業を興すにあたって手許の現金を持っている必要はないが、十分な収支がないとすぐに赤字になってしまうだろう。
金準備(Gold Reserve)とは、国家がもつ現金準備のことだ。債務がないときの余った予算は金準備に充当される。逆に赤字の場合は、金準備から資金を崩して帳尻を合わせる。
大きな金準備を持つことは悪いことではないが、必ずしも最良というわけでもない。国家ごとに金準備上限(Gold Reserve Limit)があり、これは余剰1ポンド*1ごとに金準備の効果が逓減するソフトキャップである。上限を大幅に超える金準備には無駄が多いので、資金を再投資する先を見つけるべきだ。
国家債務(National Debt)は、支出が膨らみ金準備を使い切ってしまったとき、自動的に借入される。借入すると金利を支払わなければならないが、Victoria3の金利は比較的低いため、計画的な借金は経済成長のために推奨される。課税による収入増が利息を上回る可能性があり、国民の生活水準を向上させられるからである。
ただし、債務上限(Debt Ceiling)に達することは避けなけらばならない。これは金準備上限とは違い、ソフトキャップではない。借入額が上限に到達すると国家は即座に債務不履行(Default)となり、恐ろしい状態になる。(実際にどういう状態になるかは不明。見逃しているだけかもしれない。)
脱出するには収支を黒字にするか、破産宣言をするしかないが、破産宣言は国内産業に大打撃を与える。借り入れている資金は実際には国内建造物の現金準備であり、それら産業をすべて見捨てることになるからである。
債務上限は実質的に国内建造物の現金準備上限の合計である。一般的に高度な産業・建造物の方が現金準備の上限が高く、またもちろん建造物のレベルにも比例する。
デフォルトを脱却するもう一つの方法として債務を他国に肩代わりしてもらうことも可能だが、その後の国家の安全は保障できない。債務の引き受けが行われると、引受国は相手への外交行動で責務(Obligation)を利用できるようになる。責務を使うと相手国の意向と関係なく関税同盟締結などの提案を受諾させられる(列強を従属国にできない等システム上の制限はある)。
Victoria3の徴税のうち、所得税、人頭税、消費税の3つ*2はそれぞれ5段階のレベルがあり、自由に調節することができるが、税率の引き上げは急進派の増加と表裏一体である。なお前作のスライダーが廃止された理由は、①スライダーよりもレベルごとに得られるものが明確になる②毎週政府が税率を調整するのは全く非現実的 としている。
(徴税と法律との関係の情報が不足)
怒った利益集団が内戦を起こすこともあるし、潜在的には彼らを支持する外国を呼び込むこともある。
#6 利益集団より
利益集団(Interest Groups)は、特定の政治的見解やイデオロギーを支持し、それに合わせて国家を変えようとする人々の集まりだ。利益集団は多様な動機から形作られるだけでなく、国家によって実際の動機は様々で、例えば宗教、その国家に表れている社会運動、指導者個人の見解などによる。
利益集団はPOPのなかの個人によって構成されている。POPを構成するすべての人口は、いずれかの利益集団の構成員か、政治に消極的(Politically Inactive)であるかのどちらかで、この比率は職業・富・識字率などの要素による。
利益集団には複数のイデオロギーがあり、これによって制定を望む/望まない法律を決める。もちろん利益集団によってイデオロギーは異なるが、不変ではなくゲームの展開によって変化するし、個人的な世界観やイデオロギーを持つ利益集団の現指導者によっても変化する。
国によって利益団体の名前やイデオロギーは変化する。例えば、清の儒学者(Confusian Scholars)は儒学(Confusian)イデオロギーをもっている。
利益集団は自国の「旧来の」政治勢力、つまり少なくとも権力の中枢でわずかに声を上げることができる人々を代表しているに過ぎない。国内のすべての反対勢力が利益集団によって代表されているわけではなく、政治運動や革命のさいにはそれらに属さない人々が大きな力をもつこともある。
国家には必ず与党となる利益集団と野党となる利益集団がいる。またあまりに勢力の弱い利益集団はそもそも政治に影響を与えることができない。基本的にどの利益集団に政権を握らせるかはプレイヤーが変更できるが、大きすぎる与党では新たな法案が一向に成立しないし、理由なく政権から追い出された利益集団は急進派を大量に生み出してしまう。
寡頭制における裕福な貴族1人は貧しい労働者の何百倍、何千倍もの政治力(Political Strength)をもつ。利益集団は属するPOPの政治力の合計が国内に占める割合で、勢力(Clout)*3のレベルが決定される。
勢力レベルには3段階あり、強力(Powerful)・有力(Influential)・軽視(Marginalized)である。勢力とはその利益集団が国家や政府に主張できる政治的重要性であり、政治運動を推進するときに威力を発揮する。
一方で利益集団は、自国の政府に対する独自の評価(Approval)の値も持っている。評価は忠誠(Loyal)、満足(Happy)、中立(Neutral)、不満(Unhappy)、憤激(Angry)の5つがあり、国家の法律をどれほど支持しているか、彼らの構成員に体制派と急進派がどれだけいるかなどの要素に基づいている。また国家の制度や、プレイヤーがとったイベントやディシジョンへの反応などほかの要因もたくさんある。
利益集団の種別と評価によって、利益集団のもつ特性(Traits)が有効化される。利益集団が満足しているときはポジティブなものが、不満足な時はネガティブなものがそれぞれ現れる。また、利益集団が強力な場合は彼らのすべての特性は強まり、彼らが軽視されているなら特性は有効にならない。
評価の低い利益集団は、政府に対する政治運動(Political Movement)に参加、あるいは火付け役となる可能性がある。評価が憤激(Angry)となるほどまでに低い場合、運動の急進性(Radicalism)を高めるという危険性がある。急進性が一定以上になると武装蜂起の組織化が始まり、適切な対処を行わなければ内戦の発生につながる。
キャラクターとは、ゲーム内に登場する統治者、利益集団の指導者、将軍、提督であり、固有の3Dモデルで表現されている。キャラクターはすべて、いずれかの利益集団と結びついている。
キャラクターはそれぞれいくつかの特性(Traits)*4を持っている。特性はその人の性格、考え方、体質、あるいは怪我など多様で、様々な効果や副作用をもたらす。
国家元首が統治者特性(Ruler Traits)を持っていた場合、それは国家全体に適用される。利益集団の代表者が持っている特性は、その利益集団に大きな影響を及ぼす。将軍や提督が持っている特性は、戦闘において無視することができない。
将軍や提督はそのほとんどが軍隊の利益集団出身であるが、彼らを採用したり昇進したりすることは軍隊の勢力を高めることなる。反対に、彼らをその座から引きずり下ろすと利益集団からの評価も同時に下がってしまう。
キャラクターは利益集団の政治力に直接貢献し、政治力はその利益集団の勢力を決定する。この政治力の増加量は彼らの階級(将軍や提督の軍階級)に依存するため、有望な若い将軍を昇進させたりしたら彼の属する利益集団の力も大きくなる。
最も重要なこととして、利益集団が革命勢力(内戦における反体制側)になった場合、そこに属する将軍や提督は(体制側として戦う)プレイヤーに反発する。優れた指揮官を擁する利益集団の評価は、なるだけ下げすぎないようにするのが賢明だろう。
全ての効果は利益集団が有力(Influential)のときのものである。強力(Powerful)であれば効果は2倍になり、軽視(Margilnalized)であれば効果は発生しない。
あとで追記します
利益集団 Interest Groups | 不満 Unhappy | 満足 Happy | 忠実 Loyal |
軍隊 Armed Forces | |||
敬虔な信者*5 Devout | |||
実業家 Industrialists | |||
知識人 Intelligentsia | |||
労働組合 Labor Union | |||
地主 Land Owners | ノブレスオブリージュ Noblesse Oblige 貴族POPの投資プール+10% | ||
プチブルジョワジー Petit Bourgeoisie | |||
地方民 Rural Folk |
法律はほとんどの場合で互いに独立している。世襲の立憲君主制だが普通選挙制とか、食物連鎖の頂点に立つ強力な指導者がいる大統領独裁の共和制を作ることができるし、秘密警察を持っていても完全な言論の保護を認めることができる。
#7 法律より
Victoria3の法律(Laws)は、国家を運営するためのルールである。ゲーム内のあらゆる要素と関連しており、政治的、経済的、社会的にさまざまな状況を生み出す。
法律の変化は時間とともに社会を変えてゆく。急激な変化をもたらすものもあるが、ゆっくりと段階的に変わっていくこともある。
法律には3つの大きなカテゴリがあり、それぞれに7つのサブカテゴリがある。サブカテゴリには複数の法律の選択肢があり、常にそのうちの1つが制定されている。
法律の効果は主に、自国に関する一部のパラメータを補正することだ。例えばPOPの死亡率を下げたり、関税率を変更したり、官僚機構(Bureaucracy)の算出を増加させたりできる。基本的に保守的で権威主義的な法律の方がより多くの権限(Authority)を常にもたらす。
法律の効果はそのほかにも、学校や警察など特定の政府の機関(Institution)を開放したり、差別されるPOPの基準を決定したりする。
権力構造(Power Structure)は、国家のさまざまな側面を誰が管理するかを決める。君主制や議会共和制といった基礎的な部分をはじめ、選挙権や官僚制、国内治安に関する法律もある。
経済(Economy)には、経済政策だけでなく警察、教育、医療機関など政府の制度(Istitution)についての法律も含まれる。経済に関わる法律では、主軸となる経済理論や税制が定められている。
人権(Human Rights)は、自国のPOPがどのように扱われ、政府がどういった手段で彼らの生活に影響を及ぼせるかを決定する。言論の自由や労働者の権利に加え、移民や奴隷の扱いもここに含まれる。
もちろんこれらの法律は不変ではない。プレイヤーは目的を達成するため、あるいは社会をあるべき方向に導くため、法律の変更を開始することができる。
プレイヤーの意志だけでなく、人々の要求も法律変更理由になりうる。現在の法律を強力な利益集団のイデオロギーに沿うように変更することで、彼らの評価(Approval)を高めることができる。これによって将来彼らの意向に反する余裕ができるし、直近で彼らの生活水準が打撃を受けていた場合、手っ取り早く回復させることができる。
法律の変更手続きは必ずプレイヤー主導で始まるわけではない。ある法律の制定や廃止を望む利益集団やPOPが増加すると、政治運動(Political Movements)が始まることがある。政治運動は固有の支持(Support)の値を持ち、運動を支持する利益集団の勢力(Clout)と個々のPOPの人数に基づいて支持が決まる。これらのPOPは利益集団に属している必要はなく、つまり差別されていたり奴隷である人々も貴族と同等の影響力を持ちうるということだ。
こういった政治運動は、かれらの目標が達成されるまで継続される。あまりに支持が大きくなると革命や分離の危機が発生し、逆に支持が小さくなると影響は無視できる程度になる。
法律の制定にはいくつかの手順を踏む必要がある。まず変更には、対象の法律が政府内の1つ以上の利益集団に支持されている必要がある。改革が始まると、数か月で済むスムーズな制定となる場合もあれば、議会での厳しい討論(Debate)や反対する利益集団の引き延ばし(Stall)で何年もかかることもある。制定に必要な期間は政府の正統性(Legitimacy)と、新たな法律について支持したり反対したりする政府内の利益集団の勢力の双方に依存する。政府内の利益集団の広範な連合は制定する法律の選択肢を増やす(新たな法律を支持する利益集団にが1つでもあればよいため)一方で、法律の成立を困難にする(政府内に利益集団が多いと正統性が低下するため)。
法律の一覧はこちら。もちろんリリースまでに変更の可能性はあるし、抜けている部分も多い。こちらを主に参考にした。翻訳は適当。
カテゴリ | サブカテゴリ | 法律 | ||||||
権力構造 Power Structure | 統治原理 Government Principles | 酋長制 Chiefdom | 神権政治 Theocracy | 封建君主制 Feudal Monarchy | 君主制 Monarchy | 大統領共和制 Presidental Republic | 議会共和制 Parliamentary Republic | 評議会共和制 Council Republic |
権力配分 Distribution of Power | 独裁政治 Autocracy | 寡頭制 Oligarchy | 長老会議 Elder Council | 土地による投票権 Landed Voting | 財産による投票権 Wealth Voting | 傾斜選挙*11 Census Suffrage | 普通選挙 Universal Suffrage | |
市民権 Citizenship | 単一民族国家 Ethnostate | 国民の優越 National Supremacy | 文化的排斥 Cultural Exclusion | 人種隔離 Racial Segegation | 多文化主義 Multiculturalism | |||
教会と国家 Church and State | 国教のみ State Religion | 良心の自由 Freedom of Conscience | 完全な分離 Total Separation | |||||
官僚制 Bureaucracy | 官僚世襲制 Hereditary Breaucrats | 官僚任命制 Appointed Breaucrats | 官僚選挙制 Elected Bureaucrats | |||||
陸軍の体制 Army Model | 農民徴兵制 Peasant Levies | 正規軍制 Regular Army | 国家民兵制 National Militia | 国民皆兵制 Mass Conscription | ||||
国内治安 Internal Security | 内務当局なし No Home Affairs | 国家警備隊 National Guard | 秘密警察 Secret Police | 自由の保障 Guaranteed Liberties | ||||
経済 Economy | 経済システム Economic System | 伝統主義 Traditionalism | 農本主義 Agrarianism | 介入主義 Interventionism | 計画経済 Command Economy | |||
貿易政策 Trade Policy | 孤立主義 Isolationism | 保護主義 Protectionism | 重商主義 Merchatilism | 自由貿易 Free Trade | ||||
税制 Taxation | ||||||||
植民地 Colonization | 植民地制度なし No Colonial Affairs | 植民地への再定住 Colonial Resettlement | 植民地の搾取 Colonial Exploitation | |||||
警察 Policing | 警察なし No Police Force | 地方警察組織 Local Police Force | 献身的警察組織 Dedicated Police Force | |||||
教育システム Education System | 学校なし No Schools | 宗教学校 Religious Schools | 私立学校 Private Schools | 公立学校 Public Schools | ||||
医療システム Health System | 医療システムなし No Health System | 慈善病院 Charity Hospitals | 民間医療保険 Private Health Insurance | 公的医療保険 Public Health Insurance | ||||
人権 Human Rights | 言論の自由 Free Speech | 反対意見の禁止 Outlawed Dissent | 検閲 Censorship | 集会の自由 Right of Assembly | 言論の保護 Protected Speech | |||
労働者の権利 Labor Rights | 農奴制 Serfdom | 農奴制廃止 Serfdom Abolished | 労働規制機関 Regulatory Bodies | 労働者の保護 Worker's Protections | ||||
子供の権利 Children's Rights | 児童労働の許可 Child Labor Allowed | 児童労働の規制 Child Labor Restrictions | 初等義務教育 Compulsory Primary School | |||||
女性の権利 Rights of Women | 財産化された女性 Propertied Women | 後見人制度 Legal Guardianship | 女性労働者 Women in the Worklplace | 女性参政権 Women's Suffrage | ||||
福祉 Welfare | 社会保障なし No Social Security | 簡易な政策 Poor Laws | 賃金統制 Wage Control | 年金制度 Pensions | ||||
移民 Migration | ||||||||
奴隷制 Slavery | 奴隷貿易 Slave Trade | 債務奴隷制 Debt Slavery | 遺された奴隷制 Legacy Slavery | 奴隷制の禁止 Slavery Banned |
植民地化された辺境、紛争中の領土、最近併合してまだ編入していない領土がある場合、こうした領土はプレイヤーに税を納めず、プレイヤーの官僚機構にも負担をかけないが、彼らはプレイヤーの素晴らしい病院も利用できない。
#8 政府の制度より
政府の制度(Institutions)は、自国政府がPOPに提供する役務だ。法律は利益集団にとって重要だが、制度はそうした法律の副産物だ。制度に関わる法律はその制度の効果やレベル、副作用を規定し、利益集団は法律に対して神経をとがらせている。しかし制度自体について重要なのはそのような政治的困難さではない。
制度は官僚機構(Bureaucracy)で動く。官僚機構は行政機関(Goverment Administration)の建造物から生み出され、そこでは事務員(Clerks)や官僚(Breaucrats)が雇用され、紙(後の時代には電話などほかの商品も)を消費する。行政機関の建造物が増えれば増えるほど、より大規模な制度を同時に運営できるようになる。
制度を確立するためには、対応する法律が制定されている必要がある。一つの制度に対して常に複数の法律の選択肢があり、どの法律を選択しているかによってその制度の性格が決定される。
制度の1レベルあたりのコストは、編入されたステート(Incorporated States)全体の人口の大きさに依存する。制度の重要な点は、適用される効果や恩恵が編入した領土のみに適用されるということだ。
制度の確立や拡大、あるいは縮小はゆっくり進行する。そのため可能なら変化を先取りし、強い人口増加や編入したステートへの移民の波が来たら、積極的に行政機関を拡大すべきだ。
教育制度(Education)、すなわち学校はおもにPOPの識字率を向上させることに役立つ。教育制度のレベルが上がるごとに自国の教育機会(Education Access)が上乗せされるが、実際に人々が教育を受けられるかどうかはそのPOP独自の教育機会に基づいている。あるPOPが30%の教育機会をもっているならば、時間経過でそのPOPの人口の30%が読み書きできるようになる*12。識字率の向上は技術革新の速度と結びついている。
宗教学校法を採用している場合、制度1レベルあたり+20%の改宗速度上昇の効果があり、最大で+100%、つまり2倍の速度で改宗が進むことになる。また聖職者の影響力が強まるという副作用もある。
私立学校法では、富の多いPOPが優先的に教育を受けられるようになる。そのため労働者階級が社会主義運動などのおかしな考えをもつことを妨げることができる。
公立学校法は子供に義務教育を課すことで、文化的同化を早める。1レベルあたり+12.5%、最大で+62.5%の同化速度上昇が見込める。宗教よりも効果が若干弱いのは、改宗と比較して教化のアプローチがあからさまではないことを表現している。
医療制度(Health System)は、国民の死亡率を低減させる。慈善病院法は効果が限定的で聖職者の影響力を強めるが、政府の支出は少ない。(おそらく民間医療保険法だと富のあるPOPしか医療を受けられず、公的医療保険法だとすべてのPOPが医療を受けられる。また、民間医療保険ではレベル1ごとに死亡率が-1%されるようである。)
警察制度(Law Enforcement)には、国内の騒乱(Turmoil)を減少させる効果がある。騒乱のあるステートは税の無駄が増えたり、移住の魅力が減少したりする様々なペナルティを受ける。一部の法律(おそらく献身的な警察組織法)では、過激分子に対してより直接的な影響を与えることができる布告「武力弾圧(Violent Suppression)」が利用できるようになる。
労働安全制度(Workplace Security)は、職場でのPOPの死亡率を減少させる。おそらく労働規制機関法か労働者の保護法のどちらか1つの法律の制定で設立できる。
社会保障制度(Social Security)は、国民の最低貧困ラインを引き上げる。福祉カテゴリの法律が、社会保障なし以外であれば設立できる。
内務制度(Home Affairs)を確立することで、国内の革命運動や急進派の活動を抑えることができる。国家警備隊法では法と秩序を守るためによりあからさまで積極的な手段をとることをプレイヤーに要求し、一方で秘密警察法は秘密裏により効果的な活動を行える。
秘密警察法ではレベルごとに以下の効果がある。(上記画像より)
・利益集団の抑圧の効果-10%
・革命/分離進行速度-5%
・抑圧された利益集団の急進化確率-15%
・(おそらく)革命進行値-10%
植民地制度(Colonial Affairs)は、国民がそこに移住し投資することを奨励することで、編入された領土の人口に応じて、設立されたすべての植民地において成長をもたらす。
植民地への再定住法がある場合はレベルに応じて植民地への移住を促進し、植民地の搾取法がある場合は、植民地に住む人の生活水準を下げる一方で現地産業の出力を高める。
実際の政府の構成は依然としてプレイヤー次第だ。現代のほとんどの国の選挙制度と同じように、投票で勝ったからといって自動的に特定の政党や政党連合が政府を樹立するわけではない。
#45 選挙より
選挙(Elections)が行われるのは、投票が可能ないずれかの「権力配分」法がある国家だ。
これらの法律のすべては、あらゆる「統治原理」法と両立できる。例えば君主制の法律がある国家は投票を行わない絶対君主制にもできるし、普通選挙制にもできる。共和政が大統領独裁になりうるのと同じだ。
以下の条件に該当するPOPは投票できない。
Victoria3では女性参政権法(女性の権利カテゴリの法律)を制定することで、労働力比率(Worlforce Ratio)と扶養家族の参政権(Dependent Enfranchisement)が大幅に増加する。つまり、より多くのPOPが建造物で働けるようになり、ずっと多くの扶養家族が投票するPOPとしてカウントされるようになる。
しかしゲームの序盤にこの法律を成立させようとしても、利益集団からほとんど支持を得られないだろう。フェミニズム(Feminism)を研究した後*13、フェミニズムのイデオロギーを持った政治家が現れ始め、彼らは女性参政権を強く支持し、不平等な法律に反対する。
このゲームにおいては基本的に、史実がそうであったように時代を経て参政権は拡大する方向に向かっていく。
政治扇動(Political Agitation)を研究すると参政権運動が本格的に始まる。ジャーナルエントリ「女性の投票権(Votes for Women)」が出現してイベントが発生し、政治運動を拡大または抑制する機会が生まれる。法律を制定し、投票できるようになった女性たちに向けて選挙運動を行うことでこのジャーナルエントリを完了できる。あるいは運動が勢いを失い衰退するまで無視したり抑圧したりできる。
選挙のある国家は、4年ごとに選挙が行われる。その際選挙の6ヶ月前から選挙運動(Election Campaign)が始まる。自国に存在する各政党には選挙運動開始時に機運値(Momentum Value)が割りあてられ、これが選挙運動の成功の尺度となり、投票日の得票数を決定する大きな要素となる。選挙期間中に各政党の機運値は変動し、最終的な結果に影響する。
自国の政治情勢における政党や指導者などの要素は前回の選挙から年月を経て変化している可能性が高いため、前回の選挙の機運値は引き継がれず、リセットされる。機運値は幸運・イベント・利益集団の指導者の人気などから影響を受ける。
選挙運動が終わると投票が行われ、その結果は次の選挙まで固定される。利益集団は彼らの政党の得票率から政治力を獲得し、正統性、つまり政府の有効性を決定する主要因となる。
なお、実際の政府の構成はプレイヤーが変更することもできる。これは主に二大政党制以外の場合、自由に連立政権を構築できるようにするためである。
例えば選挙で保守党・自由貿易党・宗教党の間で票が50/30/20に分かれたとする。保守党に政権を取らせたくない場合、自由貿易党と宗教党で連立政権を組むことができるし、あるいは保守党と宗教党を与党に据えて、自由貿易党を完全に脇に追いやることもできる。
このゲームの政党(Political Parties)は利益集団の同盟だ。政党は選挙がある国家に出現し、民主主義国家と独裁国家の体験や仕組みの違いを作り出している。利益集団が政党に参加している場合、彼らは政党という1つのブロックとして政府に参加したり排除されたりする。プレイヤーは政府の構成について戦略的な決断を行い、その結果に対処する必要がある。
例えば、自由党には知識人と実業家が含まれ、どちらも自由主義経済への移行というプレイヤーの計画を支持するが、児童労働の問題では意見が分かれる。
政党は政府を連立で組むだけでなく、選挙運動においての機運値も共有する。例えばプチブルジョワジーの指導者が保守党に加入し、彼が政治スキャンダルに巻き込まれると、党全体の選挙結果に影響する。
地主たちは工業化が進む経済の中で政治への関与を失い始めると、台頭するファシスト党と結びつくことで政治への関与を保とうとし、ファシスト党はこれによって支持層を増やして政治力を得ようとするかもしれない。
時には在野の利益集団が与党の政党に参加しようとすること(あるいはその逆)がある。この場合、その利益集団は以前の政党から離脱し、新たな政党に「参加希望」としてマークされる。この状態でプレイヤーが政府の改革(利益集団を政府に参加させたり排除したりすること)を行おうとすると、参加希望の利益集団も新たな党のメンバーとして加わり、単一のブロックとして扱わなければいけなくなる。
利益集団がその政党に入るかは様々な要因によって決まる。以下はその一部
もちろんどの政党が現れるかは国家によって違う。また保守党がアメリカにおいては民主党、イギリスではトーリー党というように固有の名前を持つ場合もある。