各国戦略

このゲームを始めると、何していいのかはなんとなく分かるけど何してるのかわからない。なぜそうすべきなのかわからないといった状況になる人が多いと思う。
そこでこのゲームの経済の流れを解説する。

1章.お金は増えずに回るもの

大体のシミュレーションゲームに置いてお金は資源として、生産されてそれを使って何かを生産できたりするものだ。
しかしながらVIC3においては実際の経済と同じくお金はそういった”資源”ではなく循環するものである。
具体例を見てみよう。

まず建築をするとき政府は木と紙から建物を作り、紙は木から、木は伐採所で作られる。それぞれお金を払っているのでお金の流れはこんな感じだ。

政府→伐採所
 ↓ ↑
 製紙所

ここで製紙所は政府に紙を売って貰ったお金を全部、伐採所に支払っているわけでは勿論なく、その一部だけを木の代金として支払っている。
そして残りのお金は製紙所で働くPOPやその施設を所有しているPOP達に支払われるのだ。
同様に政府も直接建設を行うPOPにお金を払っている。伐採所はどこにも支払いを行っていないから売り上げが全部POP達にお金が支払われる。
重要なのはここではお金は増えも減りもしておらず、ただ政府のお金が、政府、製紙所、伐採所で働くPOPや製紙所、伐採所を所有するPOPにお金が移っているだけだということだ。

だがこのままではひたすら政府のお金がそれらのPOPに移り続けやがて政府は破産してしまう。そのためこの一方通行の流れを循環させなくてはならない。

一番簡単な方法はPOPが貰ったお金を100%全部税金で取り上げてしまうことだ。そうすれば払った分のお金は政府に戻って問題解決となる。
だが残念ながらそんなことは不可能なのでもう少し回りくどい方法を取らないといけない。

綿農場と農場の関係を見てみよう。
綿農場のPOPは支払われた賃金で農場で作られた穀物で買う。一方農場で働くPOP達は綿農場でつくられた生地を簡易な衣類として買う。

つまり綿農場と農場間ではお金が行ったり来たりしているわけだ。
ここで、政府はこの両者にはお金を支払っていないため、ここで彼らに所得税なり人頭税なりの税金を課せば、彼らからお金を回収できる。

さて伐採所や製紙所、政府で働く労働者達も穀物や衣類は必要なため彼らも綿農場や農場から商品を買う。
つまり政府→(製紙所&伐採所)→(綿農場&農場)→政府と無事お金が循環するようになった。

もちろん、実際にはこれだけでは回収しきれないのでもっと複雑な経済の輪を作って回収することになる。

重要なこととして税率を上げることで相対的に、小さな経済の輪でPOP達からお金を回収できるようになり、政府はより多くのお金を政府自身が使えることになる。
具体的には建築や大学、軍事、官僚機構にお金をつぎ込めることになる。

2章.生活水準

生活水準という表現からは分かりにくいがこのゲームおける生活水準とはそのPOPの資産だ。
POPは支払われた賃金や配当からいろいろな商品を買ったり(ゲームでは需要ってかかれているもの)、税金を支払うのだがこのキャッシュフローがプラスだと当然ながら徐々にPOPの資産が増えていく。
そして積み上げた資産の量が生活水準として表示されるのだ。

そして資産の量=生活水準が上がると商品を買う量=需要が増えていくのだが、給料が変わらなければ需要が増えて使うお金が増えていけばキャッシュフローが徐々に悪化していきどこかで、キャッシュフローがプラスではなく0になる。そうするとそれ以上資産がふえなくり、生活水準の上昇は止まる。

さてゲームの最初のころはPOP達の生活水準は製材所等で支払われる給料に比べて低いため生活水準が徐々に上昇していくことになる。
ここで問題なのがお金は回るもので基本的には増えないという点だ。
全体のお金の総量が変わらないのに製材所のPOP達がお金を蓄えていくという事はその分どこかのお金が減っていくという事だ。
やがて製材所のPOP達の生活水準が上がり止まってくれればまた循環するようになるのだがゲーム開始からしばらくは彼らはお金をため込んでいく。

3章.お金が増えるとき、減る時

1つの方法はその分、政府が借金をするという方法なのだが後述の理由でそれも問題がある。そこでどうするかというと小作農POP達の持っているお金を税金で吸い上げてそれを製材所のPOPに流すという事になる。
だが小作農POP達から吸い上げられるお金というのはそう多くはない。前述の通り、伐採所POPの資産が増えて生活水準が上がってくれれば彼らはお金を使ってくれてまた回収できる様になる。つまりどこからかお金をもってきてかれらの生活水準を上げてしまえば、それ以上生活水準が上がらなくなるのでまたお金が循環するようになる。大事なのはかれらの生活水準が上がること自体ではなく、生活水準の上昇が止まる、ないしは鈍化させることなので、彼らを儲けさせて早く生活水準を上げようというのは本末転倒だ。

幸いにして、循環するお金の総量が増減する状況というのはいくつか存在する。

小作農

第1に小作農の存在である。
小作農は自給農家で働くのだが小作農はPOPあたり農奴制ならば3、そうでなければ4のお金を自給生産として生み出す能力を持っている。
施設が上げた利益は普通の施設ならば全額が持ち株を持つPOPに配当所得として支払われるのだが、自給農家の場合にはその半額が消え去ってしまう。

ゲームが進むにつれて影が薄くなっていくもののゲーム序盤では主要な要素であり、農奴制と奴隷制を廃止する意義である。
逆に言って、小作農がいないなら農奴制も奴隷制もじつはそれほどデメリットがない。

鋳貨

第2に鋳貨である。
国家はGDPの一定割合、正確には週当たり250+GDPの0.05%、年に直せば2.6%のお金を得る。中盤以降は主要な増加源である。

財政の無駄

第3に税金の無駄である。
徴税キャパシティーが不足して徴税効率が低い徴収した税金の内一部が消え失せてしまう。行政キャパシティーが不足している場合も同様である。
POPからはきっちり税額分のお金が減っているので全体としてお金が減っている。

その為徴税キャパシティーが不足しないように行政センターを増設したいが序盤だと税率が低すぎて全体のお金は増えても政府が赤字で持たないので徴税キャパシティーへの補正や税率にもよるが土地ベース課税を人頭税に変更したタイミングで行政センターを並べるのがいいだろう。

債務の金利

第4に借金の金利だ。
借金には金利が発生する。金利は未承認国家の場合には金利が50%増しで列強ならば50%引きだ。これに技術による補正が加わる。
なお画面上の持っているお金にカーソルを合わせると収入と支出が表示されるがここで利益と書いてあるのが金利だ。
interestを利益と訳したものと思うがinterestはここでは金利の意味で使われててほとんど誤訳だと思う。
財務健全性の高さにもどうやら金利は影響されるようだが細かな計算式は不明。基本筆者は借金はやめた方がいいと思う。

以下細かい計算

金利は借金の額でここに表示された利益に書かれている数字を割れば出るがこの計算で出てくるのは週利なのでこれを年利に直したほうが考えやすい。
年利に直すのだからこれに1年間は52週なので52をかければいいというとそうではなくて
これは複利なのでその分を計算しなくてはならない。具体的には52は十分に大きな数字なので(細かい話はネイピア数 複利でググろう)
週利×52×e(≈週利×52×2.7=週利×140)で計算される。

計算するととんでもない数字、日本だと財務が健全でも年利70%とかになるので基本的には借金はやめた方がいいと思う。
せめてGDPの伸び率≧金利になってくれないと借金はしにくい。大体GDPの年間成長率が上手く内政を回して10%ってところなので年利70%、列強ですら20%前半というのは高すぎる。
多分パラドは週利を年利に直すときネイピア数をかけるという点を忘れていたのではないか。

物が基準価格以外で売買されたとき

第5に物が基準価格以外で売買されたときである。

具体的にみてみよう。
木材の基本価格は20だ。

仮に売り注文、買い注文がともに100だとすると購入者が払うお金は100×20で2000。生産量の売り上げも同じく2000だ。

だが今度は買い注文は100のままだが売り注文が200になったとする。
この場合、価格は5まで下落することになるが同様に計算してみると、購入者の支払いは5×100で500 生産量の売り上げは5×200で1000。
結果としてその差500分全体のお金が増えることになる。

今度は売り注文が50になった場合だ。この場合は木材価格は35まで上昇することになる。
同様に計算すると支払いは100×35で3500 売り上げは35×50で1750となる。
結果として全体では1750のお金が失われることになる。

以下また細かい計算が出てくるので余裕があれば

価格の決定式が正確にわからないので概算となるが、かりに価格売り注文が2倍なら75%引き、売り買い同量なら基本価格
売りが50%多いなら37.5%という単純な比例式だった場合、買い注文が100のときの増えるお金は売り注文の数をXとおくと次式であらわされる。(導出は省く)

基準価格*(x-100)(1-0.0075(x-100)) ただし100≦X≦200
=基準価格×-0.0075(x-100)(x-700/3)
=基準価格×-0.0075{(x-500/3)^2+460000/9}

売り注文/買い注文が500/3≈1.6倍くらいまでは徐々に増えるお金の量が増加するものの、そこからはあまり増えなくなり1.65倍あたりで頭打ちでそれ以上はむしろ減ることがわかる。

同様に失われるお金を計算すると
基準価格*(100-X)*(2.5-0.015X)
=基準価格×-0.0015(x-100)(x-500/3)
=基準価格×-0.0015{(x-400/3)^2+310000/9}

同様にグラフを見るとこちらは不足がひどくなると失われるお金はどんどん増えていき、上のグラフと比較すればわかるが売り注文が110の時に得られるお金は、90の時に失われるお金の半分くらいでしかない事がわかる。
120と80ならもっとだ

細かい計算はここまで

貿易

第6に貿易(交易センター)である。
交易センターの売上は{輸入国の(貿易を行う前の市場価格+貿易を行った後の市場価格)÷2}-{輸出国の(貿易を行う前の市場価格+貿易を行った後の市場価格)÷2}で産出されるが、これがそのまま無から出現するお金となっている。*1

具体的に見てみよう。
計算を楽にする為、仮に常に木材の買い注文と売り注文が一致する仮想国があったとする。

木材の買い注文100、売り注文200の国が100の木材を仮想国へ輸出した場合を考えてみる。
輸入国側の価格は20で固定。輸出国側は(貿易を行う前の市場価格5+貿易を行った後の市場価格20)÷2=12.5。この差額である7.5に木材100を掛けた750が交易センターが生み出すお金となる。
売り注文が多い時に生じていたお金を差し引いても250追加でお金が増えていることになる。

木材の買い注文100、売り注文50の国が50の木材を仮想国から輸入した場合はどうだろうか。
この場合輸入国側は27.5、輸出国側は20なので差し引き7.5は変わらず、利益は375となる。
本来なら失われているお金も考慮すれば2125ものお金を生み出していることになる。

このように適切に運用すれば輸出入どちらでも国内のお金は増えていく計算になる。
なお、不足した商品を輸入した方が効果は大きいのだが輸入とは需要を売っているのに等しい行為であり、あまり輸入にばかり頼っているとそのうち次に国内で増産すべき商品が無くなっていく。
それに輸出したい商品を増産することは出来るが輸入したい商品を増産してもらう事は今の所出来ない等、輸出にも違う形で利点が存在している。

結論

1.商品が安価で売られると全体のお金が増える。
2.商品が高価で売られると全体のお金が減る。
3.1と2なら2の効果の方が大きい
4.1の効果は売り注文が1.4倍くらいまでで効果が大きいがそれ以上は効率がわるい。

よってお金を増やすといういみではすべての商品が少し安めで売られていると効果が大きい。ただし不足を解消する方が余らせるより優先。

なお序盤中盤は回るお金を増やすことは大抵有意義だが増えれば増える程いいというわけでもないのが実際の経済同様にこのゲームのいい所でもあり難しいところでもある。

4章.増えすぎたお金

ゲーム序盤は問題ないが中盤以降金余りの状況に陥ることがある。
上記の流れでお金がどんどん増えていくのだがPOPの生活水準や識字率があがると要求賃金も上がっていく
だがこのゲームにおいて生産方式、生産性、売値、買値が一定ならばその施設があげられる収益は一定である。

生産性は各種モディファイアで上げられ生産方式は技術開発で変更出来るが一定以上は上がらない。
買値、売値はある施設にとっての売り物は別の施設にとっては買うものなのですべての施設にとって都合のいい価格設定は不可能だ。

ちなみにこのゲームで生産効率が見られるがこれは労働者あたりの収益である。

結果として施設があげられる収益には上限がある。
そして収益から労働者の賃金を払うのであるが労働者の要求賃金が上がってくると収益で給料を賄えなくなり赤字に陥って施設が稼働できなくなる。

一部の施設ならともかくどこかの施設でこれが起こるとその施設が生産していた商品を使って生産していた施設も採算が合わなくなってしまい連鎖的に大量失業を起こすこととなる。
大量失業した結果、彼らの生活水準がさがってまた低い賃金で働いてくれればいいのだがその過程で急進性が上がったりと良くないことがおこるので他の解決策としてどこからか安い労働力の移民を連れてくるとか植民地をつくったりとかの方策を考えることになる。

具体的になにがいいかを考えるのがこのゲームの醍醐味ではある。

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*1 貿易を行う前の市場価格を参照するのが交易センターしかいない為。もし生産者も参照していたのならば相殺されて0になる

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