AAR/どう見てもドイツです。本当にありがとうございました。(v1.2)
ヨーゼフさんはオーストリア・ハプスブルク帝国の事実上の最後の皇帝です。
彼は実は重度のパラドゲーマーで、今日も今日とてパラドゲーに興じます。
ヨーゼフさんは祖国オーストリアでプレイするのが大好きです。
でもこの日は、ある来客があって...?
こんにちは、オーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフです。
こんにちは。オーストリアのマスコットアニマルであるカンガルーくんだよ。
お前、しょっぱなからいい度胸してるな。
このくだりも久しぶりですねえ。お元気でしたか?
おうとも。毎日毎日飽きもせずパラドゲーをやっていたんだが、先日VIC3のv1.2がリリースされたんで、試みに遊んでいるんだけど、なかなか難しい。オーストリアでやってドイツをつくる難易度があがっているんではないのかしらん。
実際、難易度はあがっていますよ。AIは全般的に賢くなっていますし、オーストリアはv1.1に比べて微妙にナーフされています。
では以前のようにオーストリアによってドイツをつくることは不可能なのか。
そんなことはありません。そもそもVIC1ではイベントさえ組まれておらず、オーストリアによるドイツは夢のまた夢だったことに比べれば、最近のゲームでオーストリアドイツをつくるのは簡単です。やってみましょう。
見慣れたFormable Nationのタブだな。
はい、これによればドイツを構成する30州のうち、19州を領有するか、ナショナリズムを発見してドイツ統一CBをつかって勝つかすればドイツになれます。いまオーストリアは8州しか領有していないので、まだ先は長いですね。
州は、自分で領有していなくても諸侯に支持を得てもカウントされるんだよな?
そのとおりです。
ばぶー、だあ、だあ。
おや、この利発そうなお坊ちゃんは。
このこまっしゃくれた砂利が、史実におけるオーストリアの「最後の」皇帝であるフランツ・ヨーゼフさんです。1830年生まれで、このときは数えで5歳とカウントされています。支持基盤は地主で思想は穏健。特質として悪名の増加を防ぐ"注意深い"を有しています。
スクショの政府タブからはそれ以外にもいろんな情報が読み取れるね。
オーストリアの現政府はいろいろな問題を抱えています。君主は健康不良で参議は地主のみです。地主の指導者は「ラインラント生まれのヨーロッパ人」で「ウィーン体制の立役者」であるクレメント・フォン・メッテルニヒさんです。人気はそこそこ高いですが、ご高齢のためいつ引退されるかは分かりません。
問題があると言ったが、専制下の地主オンリーは悪い点ばかりではないよ。正統性がカンストしているから、王党派loyalistが増加し易く、政権が安定する。
なるほど。"オーストリアによるドイツ"プレイの場合には、序盤から戦争と併合が相次ぎますから、騒乱turmoilに対処するためにも政権の安定は重要ですね。なんだ、「お貴族さま」と揶揄される地主も、役に立つことがあるんですねえ。
それにしてもドイツ~ドナウ~バルカンの民族分布は複雑だね。
オーストリアは「諸民族の牢獄」と悪口を言われるくらいの礫岩国家で、主要文化はドイツ人で、それ以外のハンガリー人、クロアチア人、チェコ人、イタリア人(このリストはもっと長くできるのですが)は被差別文化となっております。法律の"主要文化至上主義National Supremacy"を改正すれば差別も法的にはなくなるのですが、今回は大ドイツ建国を目指すのでハウスルールとして"主要文化至上主義"を改正することは致しません。
主要文化至上主義以外の法体系はどのようになっているんだい。
オーストリアはお貴族さまが実に気持ちよく支配する典型的な君主国ですので、君主制&専制&主要文化至上主義&世襲官僚と例のあれのセットが揃っております。でも、軍隊が「職業軍」で、経済法が非「伝統主義」なのは良いですね。それにアメリカやロシアと違って奴隷も農奴もいませんし、女性の権利まで認可されているのには驚きました。
女性の権利については職場にでてもらうよりも家庭にいてもらったほうが人口バフになるので、移民をつかわないドイツプレイの場合、「女性は家庭に」の方が重宝したりするんだよな。でも序盤は資金のプールが必要なので女性は職場にでてもらうことにする。
カトリック国ですし、本来なら「女性は家庭に」の法律を採用しているはずなんですけどね。
ではさっそくゲーム開始だ。最初は何をしたらいいんだい。
今回のプレイで大事なのは技術と外交です。技術は「ナショナリズムNationalism」と「将校団General Staff」を優先してとりましょう。両方必要です。両方揃わないと意味がありません。「ナショナリズム」はドイツ統一CBの必要条件ですし、CBがあっても軍質の良いプロイセンに戦争で勝利するには「将校団」によって解禁される散兵戦術が必要です。
なるほど。外交は、いかにすすめるべきか。
ドイツ統一戦争のさなかに列強が介入してこないように心掛ける必要があります。そこで、イギリス、フランス、そしてロシアに関係改善を図って友好値をカンストまでもっていきます。本当は貸付をして恩義を獲得すれば確実なのですが、必要技術や必要資金を準備する時間がもったいないので今回はそういうことは致しません。他にはドイツ諸侯と関係改善して、恩義と引き換えに彼らをプロイセンとの「関税同盟」からひっぺがします。
プロイセンはナショナリズム発見以後、関税同盟にはいっているドイツ諸侯を外交併合できから、関税同盟から離脱させるのはまったく必要だな。
技術と外交さえちゃんとしていれば、ドイツは統一できます。軍備はとりたてて増やす必要はありませんし(軍量ではオーストリアはプロイセンに勝っていますから)、生産は適当にやって大丈夫です。
よし、では時計の針を動かすぞ。
ドイツ系ユダヤ人のアインシュタインは「神はサイコロを振らない」と言いました。今回のプレイでもドイツ統一までは再現性を重視するため、できるだけ他人がなぞれるように丁寧にすすめていきたいと思いますが、最序盤でいきなりランダム要素があります。
なんですか、それは?
法改正運動です。参議が地主だけなので政府は法改正ができませんが、参議外の利益集団が法改正運動を起こすときがあります。どういう法改正を提起してくるかはランダムで、専門的警察機構をつくろうと言ってくる場合もあれば、植民地政策を採用すべしと言ってくる場合もあります。
今回はというと、「資産単位の課税Per-Capita Taxation」を提起してきたな。これは当たりだね。税収が上がる。税収が上がれば軍を動員できる期間が増加する。
そうですね。v1.1ではオーストリアはこの「資産単位の課税」をはじめからもっていましたが、v1.2で「土地単位の課税」にナーフされていました。今回は当たりを引いたのでそのまますすめたいと思います。1836年7月にこの法改正運動は成功し、税制改正法がオーストリアの諮問会議で承認されました。
その他はべつにすることもないね。適当に時計を回して、外交で関税同盟のお仲間を増やしながら、ナショナリズムと将校団の技術が開発されるのを待つ。
1837年9月に将校団を、1840年4月にナショナリズムを解禁しました。将校団の解禁がはやいのは、技術伝播に被せたからです。これは小技ですが、技術を開発するときは一週間が終わるのを待って伝播した技術を確認しておくのがよいでしょう。